飼い葉桶の救い主

ルカによる福音書2章1~7節  2024年12月15日(日) クリスマス合同礼拝

                          牧師 藤田浩喜

 クリスマスですね。クリスマスの絵本はいっぱいありますが、アトリーという人の『クリスマスのちいさなおくりもの』という絵本があります。

 あるクリスマス・イブのことです。その家には、クリスマスだというのに、クリスマスツリーもなければ、クリスマスのごちそうもありませんでした。というのも、家の奥さんが病気で入院し、家には気落ちしたお父さんと小さな子どもたちしかいなかったからです。そんな事情でしたから、クリスマスの用意が何もできなかったのです。

 すると、その家に住んでいたねずみたちが、その家で飼われていたねこのおばさんに言いました。「クリスマス・イブだと言うのに、どうしてこの家にはツリーもごちそうもないんだ。」「ねこさん、あなたが何とかしてください。」「今夜はみんながなかよくする夜でしょ。」「おれたちも手伝いますよ。」

 「なかよくする夜だって?ああそうだったね、今夜は。」「じゃあ、わたしもお前たちを、食べたりしないようにするよ。」

 こうして、ねこのおばさんと、ねずみたちが力を合わせて、クリスマスの用意をすることになりました。日頃はねこに食べられないように逃げ回っていたねずみたちでしたが、クリスマス・イブは特別だったのです。ねこのおばさんは、家のふたりの子どもたちが、サンタさんからクリスマスプレゼントをもらえるように、ねずみたちに、子どもたちのくつ下を取りにいかせます。くつ下はだんろの前につるします。それから、ねずみたちに食糧庫から材料を取ってきてもらって、ミンスパイとケーキを作ります。ミンスパイというのは、3センチぐらいの小さな丸いお菓子で、中には干した果物、良い香りのする香料が入っています。

 オーブンでケーキを焼いている間に、ねずみたちは飾りつけの花を作り、ねこのおばさんは雪の降る外に出かけて、クリスマスツリーにするもみの木やひいらぎをさがしに行きます。みんなが手伝ってくれたおかげで、寂しかったおうちは、にぎやかな飾りつけがされ、美しいクリスマスツリーも立てられました。部屋にはミンスパイやクリスマスケーキが焼き上がったおいしそうな香りが立ち込めています。すっかり準備の整った家に、子どもたちが楽しみにしていたサンタクロースがやってきました。サンタクロースは、こんなに美しく飾られた部屋は見たことがないと感心します。そして二人の子どもたちにはもちろん、ねずみたちやねこのおばさんにもプレゼンをあげました。そして、こんな言葉を残して、トナカイのそりに乗って、夜空へとかけていきました。「さあ、クリスマスだ。どんなにちいさなつつましいものたちのことも、忘れてはならないぞ。さあ、行こう、トナカイたちよ。…クリスマスのよい知らせを伝えにいこう。」

こうしてお母さんが病気で寂しく暗かったこの家に、クリスマスがやって来たのでした。ねずみたちとねこのおばさんがなかよく力をあわせて、やさしいクリスマスの贈り物をしたのです。

今、皆さんといっしょに、イエスさまがお生まれになった聖書の箇所を読みました。皆さんもよく知っている飼い葉おけに寝かされた赤ちゃんイエスさまのお話です。この箇所には、二人の王さまが出てくるのです。一人はローマの皇帝アウグストゥスという王さまです。この王さまは日本の何十倍もの大きさのローマ帝国を治めていました。強い軍隊も持っていました。この王さまが、「住民登録をしなさい」と命令すると、どんな人もこの命令に従わなくてはなりませんでした。だからこそ、ヨセフさんはお腹にあかちゃんのいるマリアさんを連れて、ナザレからベツレヘムへ旅をしなくてはならなかったのです。だれもその命令に逆らうことはできなかったのです。

もう一人の王さまは、飼い葉おけに寝かされたあかちゃんイエスさまでした。この王さまは、人間のいちばん暗い、いちばん貧しいところにお生まれになった神さまの御子でした。しかし、このイエスさまこそ、わたしたちにとって本当の王さまであり、救い主ですよ、と聖書は語っているのです。

ローマの王さまは巨大な力を持っていましたが、もう今はいません。その王さまが治めていたローマ帝国も影も形もありません。でも、イエスさまという王さまは今も、わたしたちの心の中におられます。そして、この世界に、わたしたちのもとにきてくださったイエスさまのことを思うとき、心があたたかくなります。そして、わたしたちはお互い仲よくしよう、困っている人の役に立とうと、やさしくなることができるのです。あのねずみたちとねこのおばさんのように、力をあわせてつらく悲しんでいる人のために、何かよいことをしたいと思うのです。

イエスさまが生まれて、もう2000年以上たっています。しかし今も、クリスマスは私たちの心にイエスさまを思い起こさせ、わたしたちに人を思いやるやさしい心を与えてくださいます。与え続けてくださっています。このようなお方こそが、王さまの中の王さま、本当の王さまではないでしょうか。このすばらしい王さまのお生まれを、今年も皆さんと一緒にお祝いしたいと思います。

お祈りをいたします。

【お祈り】イエス様の父なる神様、あなたの御名をほめたたえます。今日は子どもと大人が一緒に礼拝を捧げることができて、ありがとうございます。神様はイエス様という本当の王さまを、この世界に与えてくださいました。このイエス様がいつも私たちと一緒にいてくださいます。そのイエス様に励まされて、私たちもやさしい心をもち、互いに助け合うことができますよう導いていてください。今苦しんでいる人たち、悲しんでいる人たちを、どうか慰め支えていてください。

このひと言のお祈りを、イエス様のお名前によってお捧げいたします。アーメン。